
紙やプラスチックの診察券をスマートフォンで管理できる「デジタル診察券」の導入を検討するクリニック・病院が増えています。
予約や受付、問診、会計までをスマートフォン上で一元化できることから、患者・医療機関双方の業務効率化につながるサービスとして注目されています。
本記事では、デジタル診察券の基本的な機能や種類、導入するメリット・デメリット、サービスを選ぶ際のチェックポイントを解説します。
さらに、代表的なサービスである「デジスマ診療」の機能や料金、そのほかのデジタル診察券サービスも紹介するので、自院に合ったサービス選びの参考にしてください。
デジタル診察券とは?

デジタル診察券とは、従来の紙やプラスチック製の診察券をスマートフォンアプリやWebサービス上でデジタル化したものです。
QRコードなどを利用して患者情報を管理でき、予約から受付、問診、会計までの一連の診療プロセスをスマートフォン上で効率的に行えます。
紙の診察券は、紛失や忘れによる再発行対応、本人確認の手間が課題でしたが、スマートフォンの普及により、診察券も「持ち歩くもの」から「スマートフォンで管理するもの」へと変化しつつあります。
こうした背景から、業務効率化や医療DXの推進を目的に、デジタル診察券の導入が進んでいます。
一方で、スマートフォンの操作に不慣れな高齢患者も多いことから、紙の診察券とデジタル診察券を併用する施設が少なくないのが実情です。
デジタル診察券の基本的な機能
デジタル診察券には、診察券としての役割にとどまらず、来院前から来院後までの手続きを効率化するさまざまな機能が搭載されています。
主な機能は以下のとおりです。
- 予約機能
- 受付機能
- 問診機能
- 会計・決済機能
- メッセージ・通知機能
- 診療情報・診察券管理機能
デジタル診察券を導入することで、診療科や医師、日時を指定してスマートフォンから24時間予約・変更・キャンセルといった予約機能が活用できます。
さらに、来院時にQRコードをかざしたりワンタップ操作でチェックインできるほか、来院前にスマートフォンから問診票を入力できるなど問診機能もあります。
会計・決済機能も便利で、キャッシュレス決済に対応し、会計待ちの時間を削減可能です。
そのほか、予約リマインドや診療案内をプッシュ通知やLINEメッセージで配信できるメッセージ・通知機能、来院履歴や診療情報、複数医療機関の診察券をまとめて管理できる診療情報・診察券管理機能もあります。
デジタル診察券の導入の流れ
デジタル診察券は、計画的かつ段階的に導入を進めることが重要です。標準的な流れは以下のとおりです。
- 導入目的の明確化
- システム要件の決定
- 費用を検討
- 導入の準備・テスト・運用開始
まずは、受付業務の効率化や患者サービスの向上など、何のために導入するのか導入目的を明確にします。
次に、自院の規模や運用スタイルに合わせて必要な機能を洗い出しながら、システム要件を整理します。
その上で複数のベンダーに問い合わせ、費用やサポート体制、導入後の運用イメージまで比較検討し、無理のない範囲で段階的に進めていくことがポイントです。
デジタル診察券の種類
デジタル診察券は、主に以下3つの形態で提供されています。
- LINE連携型
- Web型
- アプリ型
医療機関によって導入形態はさまざまで、患者層や運用スタイルに応じた選択が求められます。
LINE連携型
LINE連携型は、LINE公式アカウントを通じて診察券機能を利用できるタイプです。
多くの患者がすでにLINEを日常的に使っているため、新たにアプリをインストールする必要がなく、導入のハードルが低いのが特徴です。
予約やキャンセル、日時確認などをLINEのトーク画面から手軽に行えるほか、事前問診やお知らせの配信に対応しているサービスもあります。
操作がシンプルなため、スマホ操作に不慣れな高齢の患者でも比較的利用しやすい傾向があります。
Web型
Web型は、医療機関のホームページや専用のWebシステムを通じて利用するタイプです。
ブラウザ上で動作するため、iOS・Androidを問わず、アプリのインストールなしでスマホやパソコンから手軽に利用できます。
会員登録を行うと、専用のマイページから予約やキャンセル、情報確認ができ、受付時には画面を提示して確認する運用が一般的です。
手軽さがある一方、ホーム画面への追加やブックマーク管理が必要になる場合がある点は考慮しておきたいポイントです。
アプリ型
アプリ型は、医療機関が提供する専用アプリをスマホにインストールして利用するタイプです。
予約や診察券表示、問診、通知など多くの機能を1つのアプリに集約できるため、プッシュ通知やオフライン対応など利便性の高い運用が可能です。
複数の医療機関の診察券をまとめて登録できたり、診療科ごとの履歴を確認できたりするなど、機能が充実している製品も多く見られます。
一方で、患者側にはアプリのインストールという一手間が発生する点がハードルになる場合もあります。
デジタル診察券を導入するメリット
デジタル診察券の導入は、患者・医療機関の双方にメリットをもたらします。
患者側のメリット
患者側のメリットには以下があります。
- 24時間いつでも予約可能
- 診察券紛失のリスク解消
- 非接触での受付
- 待ち時間の短縮
患者にとっての大きなメリットは、診療時間外でもスマホから24時間いつでも予約・変更・キャンセルができる点です。
紙の診察券を持ち歩く必要がなくなるため、紛失や忘れによるトラブルの心配もなくなります。
来院前にリマインド通知が届くことで受診忘れを防ぎやすくなるほか、QRコードによる非接触受付は感染症対策の面でも安心です。
受付から会計までの流れがスムーズになることで、通院時の待ち時間や心理的なストレスの軽減にもつながります。
クリニック・病院側のメリット
一方で、クリニック・病院側のメリットには以下があります。
- 受付業務の効率化
- 予約管理の最適化
- コスト削減
- データ分析への活用
医療機関側にとっては、受付や予約管理が自動化されることで、スタッフの業務負担を大きく軽減できる点が魅力です。
リアルタイムに予約状況を把握できるため、診療スケジュールの最適化にも役立ちます。
また、紙の診察券や問診票を減らせることで、印刷や保管にかかるコストの削減も期待できます。
患者情報をシステム上で一元管理できるため、受付から診療、会計までの各工程をスムーズに連携させられ、受診傾向の分析による経営改善への活用も見込めます。
デジタル診察券を導入するデメリットは?導入時の注意点
デジタル診察券には多くのメリットがある一方、導入前に把握しておくべき注意点もあります。
- 高齢患者への配慮が必要
- 導入コストの発生
- 段階的な移行期間が必要
- セキュリティリスクへの備え
- 地域・施設による対応状況の差
まず、紙の診察券から一斉にデジタルへ切り替えることは難しく、データ化には時間やコストがかかるため、当面は紙の診察券と併用しながら段階的に移行するケースが一般的です。
また、スマホ操作に不慣れな高齢の患者への配慮として、受付でのサポート体制を整えておく必要があります。
システム導入には初期費用や既存システムとの連携費用が発生する点も見込んでおくことがポイントです。
さらに、患者情報をクラウド上で扱うことになるため、データ漏洩やサーバートラブルといったセキュリティリスクへの備えも欠かせません。
信頼性の高いサービスを選び、バックアップ体制や障害時の対応を事前に確認しておきましょう。
デジタル診療券サービスを選ぶときのチェックポイント

デジタル診察券サービスを選ぶ際は、自院の特性と患者層を踏まえたうえで、以下のポイントを重視して検討することが重要です。
①自院の診療スタイルに適しているか
まず重視したいのは、自院の診療スタイルや患者層に合ったシステムかどうかです。
高齢の患者が多い診療科であれば操作がシンプルなタイプ、働く世代が多い診療科であればLINE連携型など気軽に使えるタイプが向いています。
患者の年齢層やデジタル機器への慣れ、1日の患者数、予約制か・順番制かといった運用方法もあわせて確認しておきましょう。
②自院の既存システムとの連携はできるか
電子カルテやレセプトコンピュータなど、すでに使っている院内システムとスムーズに連携できるかどうかも重要な確認ポイントです。
連携が可能であれば、患者情報の入力の手間が減り、受付から会計までの業務をより効率化できます。
API連携やデータの取り込み・書き出しに対応しているか、事前にベンダーへ確認しておくと安心です。
③自院に必要とする機能が搭載されているか
デジタル診察券には、予約や受付といった基本機能のほかにも、事前問診やキャッシュレス決済、リマインド通知などさまざまな付加機能があります。
自院の課題解決に必要な機能が標準搭載されているか、あるいはオプションとして追加できるかを確認し、過不足のないサービスを選ぶことが大切です。
④サポート体制や導入支援は充実しているか
導入時の初期設定支援やスタッフ向けの操作研修、患者向けの案内資料の有無など、サポート体制の充実度も比較しておきたいポイントです。
運用開始後にトラブルが発生した際の対応スピードや、電話・メールでの問い合わせ対応時間なども、安心して長く使い続けるための判断材料になります。
⑤セキュリティや法的適合性は十分か
医療機関では、個人情報保護法や医療情報システムの安全管理に関するガイドラインへの対応が求められます。
通信の暗号化やアクセス管理、定期的なセキュリティ監査の実施状況、プライバシーマークやISMS認証の取得有無なども、サービス選定時に確認しておきたい項目です。
⑥費用は予算内か
初期費用と月額料金のバランスも欠かせない確認事項です。
料金体系はサービスによって幅があり、必要な機能や連携範囲によって総コストも変わります。
決済手数料などのオプション費用や契約期間、解約時の条件も含めて、費用対効果を総合的に比較したうえで選ぶことが大切です。
デジタル診察券サービス「デジスマ診療」とは?

数あるデジタル診察券サービスのなかでも、代表的なもののひとつが「デジスマ診療」です。
エムスリーグループが提供するクラウド型の診療支援システムで、豊富な導入実績を持っています。
予約や問診、自動受付から決済までの流れをひとつのサービスでまとめて完結できる点が特徴です。
アプリとWebの両方に対応しているため、アプリのインストールに抵抗がある患者でも、ブラウザから予約や問診、決済などを利用できます。
幅広い患者層に対応できる柔軟さから、多くのクリニックで導入が進んでいます。
デジスマ診療の機能
デジスマ診療には、次のような機能が搭載されています。
- QRコードの自動受付機能
- 問診機能
- 電子カルテ連携
- キャッシュレス決済(後払い)
- 予約機能・お知らせ配信
- オンライン診療
受付では、QRコードを使った自動受付により診察券の受け渡しが不要になり、事前登録した保険証情報も連携されるため確認作業も簡略化されます。
問診機能では、来院前にスマホやパソコンから問診を入力でき、クリニック側は問診内容を自由にカスタマイズ可能です。入力内容は電子カルテと自動で連携されます。
電子カルテ連携により、予約・問診・会計の情報を電子カルテ側に集約でき、患者情報の一元管理につながります。
会計機能では、キャッシュレス決済による後払いに対応しており、患者は会計待ちなしで帰宅できるほか、クリニック側も会計処理をまとめて行えます。
また、次回予約時には、リマインドやお知らせをアプリで配信し、来院を促進できます。
さらに有料オプションとして、ビデオ通話機能を使った「オンライン診療」にも対応しており、対面とオンラインを柔軟に切り替えられる点も特徴です。
デジスマ診療のメリット
デジスマ診療の導入では、以下のようなメリットが期待できます。
- 待ち時間の短縮による患者満足度の向上
- 受付業務の削減による医療スタッフの負担軽減
- 事前問診によるスムーズな診療の実現
- 後払い(キャッシュレス決済)による会計のスピードアップ
- リマインドや予約促進機能による再診率の向上
実際の導入事例でも、「事務の負担軽減により患者対応に回れる時間が増えた」「Web問診により診察前の状況把握やコミュニケーションの質が向上した」といった声が報告されています。
デジスマ診療のデメリット
デジスマ診療にも、導入前に押さえておきたい注意点があります。
- 決済手数料の負担
- 高齢層のITリテラシーへの配慮
デジスマ決済(キャッシュレス決済)を利用する場合、クリニック側にサービス利用手数料として決済額の2.95%が発生します。
このほか口座管理費や振込手数料も別途かかるため、対面診療の患者の多くがキャッシュレス決済に移行した場合、手数料負担が積み重なる点には注意が必要です。
また、アプリのインストールやクレジットカード登録、事前のWeb問診入力は、スマートフォン操作に不慣れな高齢患者にとってハードルとなり得ます。
他のデジタル診察券サービスと同様、紙の診察券との併用期間を設けるなどの配慮が重要です。
デジスマ診療の料金プラン
デジスマ診療の料金プランは、以下の3つです。(すべて税抜価格)
| プラン | 初期費用 | 月額費用 |
| オンラインプラン | 0円 | 15,800円 |
| プレミアムプラン(専任サポート付き) | 400,000円 | 25,800円 |
| デジカルセットプラン(プレミアムプランの電子カルテ利用者向け) | 400,000円 | 15,800円 |
このほか、オプションとしてビデオ通話機能を追加する場合は月額980円が別途発生します。
また、オンライン決済を利用する際は、決済額の2.95%のサービス利用手数料に加え、口座管理費(月額250円)、振込手数料(月額200円)がかかります。
料金は変更される可能性があるため、詳細は公式サイトまたは営業担当への問い合わせをおすすめします。
参照:デジスマ診療の評判・口コミを解説!導入メリットや料金も紹介|エムスリーデジカル
その他のデジタル診察券サービス
デジスマ診療以外にも、さまざまなデジタル診察券サービスが提供されています。代表的なサービスを一覧にまとめました。
| サービス名 | 提供会社 | タイプ | 主な特徴 | 価格目安 |
| medicalforce | 株式会社メディカルフォース | LINE連携 | LINE連携機能が豊富、CRM機能搭載、自由診療・美容クリニックに特化 | 要問い合わせ |
| Sma-pa(スマパ) | 株式会社USEN-ALMEX | アプリ | スマホでの提示・待合番号確認、受付機や精算機と連携し会計まで一体化 | 要問い合わせ |
| EPARKデジタル診察券 | 株式会社EPARK | アプリ | 累計200万ダウンロード超の実績、複数医療機関や家族分の診察券を一括管理 | 要問い合わせ |
| ドクターキューブ | ドクターキューブ株式会社 | Web/アプリ | 6,000件以上の導入実績、高いカスタマイズ性 | 要問い合わせ |
| CureSmile | マムクリエイト株式会社 | LINE連携 | 専用アプリ不要でLINEのみで診察券・予約・問診が完結 | 初期費用110,000円、月額15,400円 |
| Lacoon | ハヤレジ株式会社 | LINE連携 | LINEトーク画面から簡単予約、家族分の予約管理に対応 | 初期費用275,000円~、月額16,500円~(税込) |
| Fanka | 株式会社TEN EXPERIENCE | Web/LINE | 予約・問診・決済・電子カルテ連携を包括したオールインワン設計 | 要問い合わせ |
| スマホDE診察券 | 株式会社ミック | アプリ | 歯科医院特化、QRコード受付、家族分の一括管理に対応した低価格帯サービス | 月額605円~(別途諸費用) |
| QuiQ | 株式会社peerNIST | Web/アプリ | 予約・受付・会計をトータルサポート、低価格を訴求 | 初期費用見積り、月額7,000円~ |
各サービスによって対応形態(LINE連携型・Web型・アプリ型)や強みとする機能、価格帯が異なります。
自院の診療スタイルや既存システムとの相性を踏まえ、複数サービスを比較検討することが大切です。
まとめ
デジタル診察券は、紙やプラスチックの診察券をデジタル化し、予約・受付・問診・会計までをスマートフォン上で一元管理できるサービスです。
患者にとっては待ち時間の短縮や紛失リスクの解消、医療機関にとっては受付業務の効率化やコスト削減といったメリットが期待できます。
一方で、高齢患者への配慮や導入コスト、段階的な移行期間の確保など、導入前に把握しておくべき注意点もあります。
代表的なサービスである「デジスマ診療」は、電子カルテとのシームレスな連携や充実した機能を強みとする一方、決済手数料や患者側のシステム利用料負担といった注意点もあります。
ほかにもLINE連携型やアプリ型などさまざまなサービスがあるため、自院の規模や患者層に合ったサービスを見極めることが、導入を成功させるポイントです。

【この記事を書いた人】
株式会社Acsport 代表取締役 竹田 忠功
船井総合研究所で中小企業の経営支援に従事し、わずか2年でシニア経営コンサルタント等へ昇格。その後Acsportを創業。
医療業界に特化したWebマーケティングを展開し、150院以上の病院・クリニックを支援。医療広告ガイドラインを熟知し、SEOやMEOを駆使して「検索順位1位」「開院3ヶ月で1日150名来院」など、結果に直結する圧倒的な集患コンサルティングに定評がある。